東北・関東大震災について
3月11日14時26分、宮城沖を震源とする、震度7、M8.4の地震発生!(後にM8.8、M9.0と2度修正)
たまたま家でテレビをつけたまま仕事をしていたので、発生直後から生で中継を見ていました。
画面には太平洋岸が真っ赤に点滅している日本地図と、初めて見る「大津波警報」の文字。「大津波」ってどんなんだろうと思っていたら、6mとも10mといいます。そんな津波など想像すらできず、テレビを見続けました。
そのときふと気になったのが、震源地に最も近い女川原発です。地震の時に自動停止するのは知っていましたが、はたして本当に止まるのか?
なかなか情報がないまま約40分経過。今度は茨城沖でM7.4の地震が発生しました。この頃から地震の情報と津波の情報が入り乱れ、見ている自分も大混乱になりました。そのうち、女川原発は自動停止。福島第一、第二も自動停止。東通は定期検査中で動いていないという情報が流れてひと安心。
ところが、しばらくすると福島第一の冷却用ポンプが全て起動せず、燃料棒の温度が上がり続けているという情報が報道されました。
私たちがこれまで学んできた原発の緊急停止の手順は「止める」「冷やす」「閉じこめる」です。「止める」は行われたものの、次の「冷やす」ができなければどうなるのかわかりません。テレビでは解説者が「冷やすための水が減ってくると燃料が溶け、炉心溶融が始まる可能性もある」と言います。フジテレビでは原発反対の運動家まで出て「メルトダウンが始まっている」と言い出す始末。
もともと「炉心溶融(メルトダウン)」は、圧力容器自体が溶け始める現象だということ(海外では明確に分けてあるそうです)なので、燃料が溶けるのはメルトダウンとは言わないそうですが。
それから以後はテレビで詳細が報道している通りです。
ここで一つだけ確認しておきたいことがあります。
テレビでは「安全と言われた原発だが…」とか「原発の安全神話…」という言葉をよく聞きます。反対派も「推進派は原発は安全だと言っていたが…」という言葉で非難しています。しかし、原発を設計した人も、電力会社も、国も、推進派も、立地点の住民も「原発は安全だ」と思っている人は一人もいなかったということです。
なぜそう思うのかを説明します。
まず、原発には起り得る事故を想定して様々な安全装置がつけられています。そして、放射線を測るための計測装置(モニタリングポスト)を各地に置いて、常に監視を続けています。もしもの事故が起った時のために、対応と情報収集、連絡の役目を担う司令室(オフサイトセンター)を、少し離れたところにつくっています。
また、運転に従事する職員、周辺住民も定期的に避難訓練を行っています。避難経路は広報紙などで知らされ、いざという時に住民に知らせる防災放送設備も充実しています。つまり、誰よりも安全性を疑っていたのは原発関係者なのです。
このことは、結果的に今回の事故に役立ちました。住民の避難はパニックになることもなく行われ、大量に被曝した人はいませんでした。モニタリングポストは刻々と変る放射線量を計測し続け、貴重なデータを知らせてくれます。それを元に東電の社員や自衛隊員、機動隊員などが対処に当たっています。彼らは確かに被曝していますが、健康には影響ない量に抑えられているそうです。
福島原発は初期の古い設計の原発です。40年前の設計である原子炉が、あの地震と津波に耐えたことはすごいことだと思います。しかし、冷却用のポンプが全て作動しなかったのは、対策の不備だと言われてもしかたありません。「想定以上の津波だった」は、言い訳にしか聞こえません。
それでも、放射線を正しく怖がり、原発の危険を極力減らそうとした努力。そして、事故が起ることを想定した準備は、今のところ巧く機能しているのではないかと思います。
今、世論は少しずつ反原発に向かっているように感じます。原発を誘致した上関でも、不安を持つ人が増えたと思います。反対派は、ここぞとばかりにその不安を煽ってきます。
私たちが考えなければならないのは、むやみに怖がること、不安がることではなく、また安全を過信することでもありません。
信頼できる情報をより分けて、何が起っているのかを正しく知り、これまでの経験と知識と常識に照らし合わせて、自分で正しいと思う道を選ぶことではないでしょうか。
今はいろいろなところから入ってくる情報に耳を澄ませていたいと思います。