上関みらい通信Blog

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2011年
8月10日

原子力発電と放射線 二つの安全

カテゴリー:blog | 投稿者:佑ちゃん

 8/1付の読売新聞の朝刊に、東洋英和女学院大学の学長であり、科学史家の村上陽一郎さんが「原発と放射線 二つの安全」というタイトルで興味深いご意見を寄せられていました。参考までに要約して紹介します。

 ・ 今回の原子力災害に関して、安全面から少なくても二つの異なった論点がある。
  一つは、現在停止中の原子炉の「運転再開を巡る安全」。もう一つは、「放射線の被曝量を巡る安全
  基準」。
 ・ 「運転再開を巡る安全」について指摘しておきたいのは、福島第一原子力発電所の事故で、他の原子
  力発電所の安全状況が変化したわけではないという点。言い換えると、これまですべての原子炉で小
  さなトラブルは多々あったとしても、致命的な問題を起こさずに安全に運転されてきた実績が、今回の
  事故で全てゼロになったわけではない、ということ。今回の事故が、津波によって冷却システムが駄目
  になったのが原因であれば、そうならないだけの処置が施されれば、これまで通り運転を続けることを
  合理的に否定できる要素はないはず。もちろん、この機会に、老朽化しつつある原子炉の安全性チェ
  ックをより厳密に行うなど、「これまで以上に、より安全な」状態を目指すことは、極めて合理的な対応。
 ・ 「放射線の被曝を巡る安全」については、本当にやっかいな問題。もちろん、一回に浴びる放射線が、
  直ちに死を招くような結果をもたらすのはどの程度の量か、という問いには、今の科学でも、ある程度
  正確に答えることができる。また、チェルノブイリ後のような、かなり長い年月をかけて、疫学的な調査
  データが積み重ねられれば、浴びた量などによりどのような形で健康が脅かされるかを、確率的に推
  定することもできる。ただ、それは統計の世界であって、一人の人間が、どうなるかという因果的な話
  にはつながらない。科学が確実な因果関係を設定できない領域では、科学的合理性を超えた配慮が
  必要になる。たとえば「事前警戒原則」と呼ばれる、確率的には低いことが判っていても、安心のため
  に、しかるべき手を打っておく、という原則も動員せざるを得ないかもしれない。

 会報「上関未来通信(特集号)」を見てもらうと分かりますが、放射線医療の専門家である広島大学の細井教授に今回の事故で地元の方の健康にどんな影響が出るかを聞いたところ、「放射線による被害は出ていないし、これからも出ないでしょう」とのことでした。安易に「問題なし」と結論付けるわけではありませんが、放射線について正しく理解したうえで、正しく怖がる必要があると思います。
 また、リスクがあるからと全てを拒絶するのではなく、資源の少ない日本でのエネルギーのあり方をしっかり議論し、今回の事故を踏まえた安全な原子力発電所の建設・運転に最善を尽くしていただきたい!もちろん、再生可能エネルギーの開発も当然必要ですが、見通しが甘く根拠の乏しい主張だけに心を奪われることなく、現実をしっかりと見つめ日本全体を考えたエネルギーのあり方を一緒に考えていきましょう!


2011年
8月4日

 3月11日の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所での事故を受け、最近、町外の方から当協議会に「将来を考え、原子力発電は推進すべきではない」といったご意見をお電話やお手紙でいただくことがあります。皆さまから頂戴した一つ一つのご意見にお答えすることは難しいため、「上関町まちづくり連絡協議会」としての考えを以下のとおりお伝えしたいと存じます。

 まず、このたびの震災により、被災された皆さまへ改めて心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。地震・津波によって皆さまの故郷に大きな被害が出るとともに、多くの方が今も避難所や仮設住宅で大変な苦労をされておられるとのことで、一日も早く故郷が復旧・復興し、安心して暮らせる生活を取り戻されることを心から祈念するとともに、私たちも出来る限りのご協力やご支援をしていきたいと考えております。

 大震災に伴う津波によって発生した福島第一原子力発電所での事故は、原子力発電の潜在的な危険性を改めて示すものとなり、上関町内に原電立地を望む私たちにとっても衝撃的な出来事でした。
 事業者である東京電力では、現在も原子炉の安定冷却に向けた懸命な作業を続けているとのことで、現場で作業に従事される方のご安全と、一刻も早い事故の収束を願っております。

 上関町が原電の誘致を表明したのが昭和57年です。水や土地もなく、アクセスも不便な町内には、柱となる産業がないために若者が職を求めて町外へ転出する状況が今も続いており、現在では県内一の高齢化率(約48%)となりました。原電誘致は、そうした上関町の生き残りをかけた私たちの決断でした。
 それから約30年、私たちは私たちなりに原子力発電について勉強をしてきました。誘致によって様々な形で雇用の場が確保され、交付金等による町の活性化に大きな期待を寄せていることはもちろんですが、この小さな町に、多くの人々の暮らしや産業を支える重要な施設ができるのだという、ある種の誇りを持って取り組んでまいりました。

 私たちは、原電立地を契機とした豊かな町づくりの引き換えに、安心して暮らせないようになることは決して望んでいません。
 しかし、福島での事故を教訓として、更に安全性を高めることは可能ですし、これから建設する上関原子力発電所では、既存の原子力発電所と違い、設計段階から安全対策を織り込めると考えています。万が一、発電所で事故が発生すれば、最も大きな被害を受けるのは私たちであり、計画を進める中国電力には、このたびの事故を真摯に受け止めて、安心のために出来ることは全て実施することを求めると同時に、今後とも地元に住む私たちにわかりやすく説明することを強く訴えていきたいと考えています。

 いずれにしましても、上関原子力発電所を含めた原子力発電の必要性や安全性について考えるにあたっては、不確かな情報や感情に基づいて議論しても、正しい方向性は見出せないと思います。事故原因の究明も緒に就いたところであり、今は、その推移を冷静に見守りたいと考えています。